ソーシャルビジネス事例⑰ マイン・グルントインコメン 民間ベーシックインカム(UBI)という実験企業

ソーシャルビジネス

皆さんはベーシックインカムBI(Basic Income、最低限所得保証)とう制度をご存じでしょうか?

これは社会保障としてすべての国民に一律に同一の生活最低限のお金を付与します、という仕組みです。働いていようがいまいが、絶対にもらえるお金です。

 

現在日本においても議論が進んでいて、段階的に導入されるかもしれませんが、制度として完成した場合おそらく1人あたり8万円前後/月 が支給されるようになります。

これは子ども1人においても全く同じなので、例えば5人家族なら40万円が毎月無償で支給されます。

賛否両論ありますが、今後AI(Artificial Intelligence、人工口知能)の発達により2030年ころを目安に日本の労働人口の約50%の仕事がなくなる(AIになる)という予測が発表されています(2015年、野村総合研究所)。AIが労働をやってくれる、という考え方もあり、実はこれ生産性は落ちない(というか上がる)んですよね。ここは違う記事でしっかりと検証をしたいと思います。

 

 

  • BIを民間でおこなってしまう試み

 

BIは賛否両論あるため、なかなか国として決定されることが難しいのが現状です。

実際スイスでは2016年に国民投票で77%の反対票により否決されています。

しかしながら2017年にはフィンランドで試験的に導入されています。これは、無作為に選ばれた約2千人の失業中の市民を対象に、月額560ユーロ(約6万8千円)の支給を行うというものです。

 

そして、個人の実験レベルとしては実際にホリエモンこと堀江貴文さんが自身のHIUというオンラインサロン内で実験的に行ったりもしています。

 

で、ここで本題ですが、このBIを民間でもっと大々的にやっちゃおうぜ!という試みをしている方がドイツにいるんです。

 

  • BIは人を怠惰にするのか? 働きアリの法則とパレートの法則

ドイツも国としてはBIには慎重な姿勢を見せています。その一番の理由は「無償で生活できるだけのお金を渡したら、怠惰になって働かなくなる」というのが主なものです。

 

しかしながら、貧困状態(相対的貧困であっても)その体験は人々から希望を奪います。実際ものすごくアクティブで生産性もある人々が貧困のスパイラルに陥ると、価値観の固定化も同時に進んで、その状態から抜け出すことは難しくなります。で、BIはその状態をリセットしてあげる(そもそもその状態を創り出さない)ための制度です。

生活苦の心配がなくなると一番初めにまず笑顔になります。そして人間はもともと承認欲求の塊なので「では、俺は一体何をして生きていくか?」と能動的・生産的に物事を考えるようになります。

もちろん懸念されているように、だらだらと自堕落な生活をする人も中には存在するとおもいますけど、ほとんどの人々は生産的に活動を始めると思います。

 

これって「働きアリの法則」っていうのにも当てはまるんです。「働きアリの法則」だと、よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる、という法則です。面白いのは、そのなかの良く働いているアリだけをまた10匹集めると、その中でもまた同様な割合になる現象が起こります。

(ちなみにさぼっているアリだけを10匹集めても同様です。面白いですよね)

 

そして、これって人間においても同様の現象が起きます(似ている法則としてはパレートの法則、という8:2になる法則があります)。

 

  • ミヒャエル・ボーマイヤー氏の「マイン・グルントインコメン(私のベーシックインカム)」

前置きが長くなりましたが、つまり僕は個人的にはBIには大賛成ということです。

で、大賛成をしているやんちゃな起業家がドイツにいるんです。

ミヒャエル・ボーマイヤー氏は「マイン・グルントインコメン mein grundeinkommen(私のベーシックインカム)」

という企業を起ち上げて、インターネット抽選イベントをライブ配信し、実際に2014年から既に85人(うち10人が子ども)にBIを提供しています。その額は月収1000ユーロ(約11万6300円)。これは地域格差を受けないわけですから、例えば日本でいうと東京の一等地での生活は難しくても、どこかの田舎で暮らせば十分生きていくことはできます。パソコン1台あればほとんどのことができますから、そこで世界をひっくり返すようなサービスが生まれる可能性だってありますし、ずっと絵を描いてとんでもない画家が出てくることだってありますし、締め切りに追われない形でずっと漫画書いて傑作を創る人もでてくるかもしれません。

 

ミヒャエル・ボーマイヤー氏はご自身が企業を起ち上げて定期収入が得られるようになってよりクリエイティブに健全な生活が送れるようになったことからこの実証実験を行うことに決めたとのことです。必要な資金は約5万5000人がインターネット上でクラウドファンディングを通じてUBIの給付に必要な資金を拠出したっていうから、国民の中での意識の高さにも驚かされます。(余談ですが日本でこのクラファンを行った場合、何か秀逸な法主構造を提示しない限り大失敗すると思いますけどね)。

 

  • UBI(ユニバーサルベーシックインカム)の実験結果

一言で言って「良い結果」になりました。

受給者はまず日々の金銭的なプレッシャーから解放され「ぐっすり眠れるようになった」と回答。これって本当に人間の根源的な部分に関わるので素敵な話だと思います。

 

受給者の人々は、毎日の食卓に乗せるパン代を稼ぐのがやっとだったような賃金の職に就いていたが、まずそこを辞めることができた。精神衛生が向上したことでよりクリエイティブな思考ができるようになって、周りの人々にやさしくすることができるようになった。自分がやってみたかった仕事、例えば実際教師になったりもできたし、慢性になってしまっていた病気の治療を金銭的にも時間的にも精神的にもすることができ、アルコール依存症から脱却することができたり、家族を世話したり、子どもの学費を払ったりできるようになった。などやはり希望的な結果が出ています。

 

 

  • 様々な層からの反論

 

これだけ良いことづくめのBIの試みだが、反対派(主に右寄りの保守派)は以下の理由により断固として反対しています。

 

・怠惰への報酬なんてもってのほか

・失業者の給付はその人に「役立たず」というレッテル貼るることになる

・魅力的ではない仕事を誰もやらなくなる

・本当にAIに労働力が代替えされるかはわからない

 

だが、この主張はすべて理論的に突破できるものであると思います。

ですがここで保守派の人たちへの提言として絶対に「理論」だけでは受け入れてもらえないという大きな壁があります。いわゆるバカの壁ってやつです。

 

ミヒャエル・ボーマイヤー氏はこのバカの壁を超えるために壮大な実験をして、動かない証拠として実証しようとしているわけです。

 

  • ちなみに日本だと指示はされているのか?

 

日本国内の2017年度の世論調査によると79%の人が導入に賛成をしています。

一方でBIのシステム上金銭的に損をする(と勝手に思っている)高所得者層の人々は反対が66.9%となっています。

 

どちらにしろこういった議論をするときには「それがあったらそもそも良いのか?」というところで、様々な懸念材料を取っ払ったうえで話をし、「良い」となった場合に「実現するためにはどうするべきか?」を話し合うべきであると個人的には思うのですが、既得権益層や遠いビジョンがあまり見えない方々にとってはまず「懸念材料の検証」から始まってしまうことが残念ですね。

スポンサーリンク

 

コメント

  1. […] ソーシャルビジネス事例⑰ マイン・グルントインコメン 民間ベーシックインカム(UBI)という実験企業ミヒャエル・ボーマイヤー氏は「マイン・グルントインコメン mein grundeinkommen( […]

タイトルとURLをコピーしました